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2015年3月11日水曜日

意外と知らない煙突の原理

建築に携わっていても、「煙突」と聞いて物自体は分かりますが、原理は意外と
知らないのでは・・・。

煙突と言うものは、空気の温度と密度の関係を利用して排気をするものです。
温度が高い空気は密度が 低くなるため、外気より軽くなり上昇し排気される仕組みです。

建物に有る煙突は、熱気を発生する設備機器から排出される高温の空気が「煙道」を通り、
「煙突」に入り、 煙突内を上昇し排気されます。

煙突の計算は、通風力(密度の差から来るドラフト)が、煙突と煙道(設備部)の全抵抗より
大きければよく、 計算上は、
理論通風力>煙突部全抵抗+設備部全抵抗
となればOKです。

煙突部全抵抗設備部全抵抗は、煙突径、排熱温度により変わりますが、煙突はドラフトを
利用しているため、 煙突内の温度が高い(外気温との差が大きい)ほどドラフト効果が発揮され、煙突径が小さくてよいこともあります。

また、設備機器からの排熱は煙道を通りますが、煙道では1/mの割合で温度が下がる
こととして計算されます。
煙道が50mあれば、仮に100℃で出た空気は煙突に入るときには50℃まで下がることになります。
実際には、機器が連続運転されるため、煙突に流入する排熱は温度が高いと予測されますが、
外気との温度差 は排熱温度が高いほど大きくなる為、煙突にとっては安全側になります。
しかし、煙道の曲がりは抵抗になり、曲がりが増えるほど設備部全抵抗が増えることに
なります。

注意点
建築では、煙突径が大きいほどコストアップになるため、出来れば小径が良いですが、
排熱の温度が低くなるほど煙突にとっては不利になり、径が大きくなります。排気計算
をした結果、煙突径を大きくしなければならないと、コストと納まりに直接関係するため、
早期の検討をすることが良いです。

また、排熱温度が高いと、煙道や煙突の表面温度が高くなり、断熱材の施工や区画壁
の設置、煙突と区画壁内の換気などが必要になります。良く「ガラリが追加になった」と
いうことが有ると思います。ガラリの追加や断熱材の追加もコストに関わってきます。
 設備的には、機器メーカーにより、排熱温度もばらつきが有るようなので、設計時点
での想定機種と実際に導入した機器のメーカーが異なる場合、煙突にも影響を及ぼす

こととなるため、機器の決定後の排気検討も速やかにすることが良いですね。

                                                   T.F

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