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2020年7月17日金曜日

Revit モデルパフォーマンス ⑤~警告の数~


今週は、Revitモデルのパフォーマンスについての検証を行います。

よく耳にするけど確かめたことのないことや、個人的に気になっているモデルのパフォーマンスに関わる項目について、5回に渡って検証したいと思います。

5回目の最終回は、警告の数についてです。


検証内容

今回は、警告が増えるとパフォーマンスに影響がでるとの記述をよく目にするので、どの程度影響がでるのか検証してみたいと思います。


検証方法

警告の種類はかなり多いので、個人的によく見かける警告を人為的に作成したモデルを用意します。

警告の内容

  • 部屋の重複
    壁をグリッド状に配置して、部屋を8000個用意し、以下2つを比較します。
    • 全てのグリッドのマス目に部屋を配置したファイル
    • グリッドのマス目の半数に部屋を2重に配置したファイル(部屋数は共通)

  • 部屋の「番号」パラメーターの重複
    壁をグリッド状に配置して、部屋を8000個用意し、以下2つを比較します。
    • 全てのグリッドのマス目に部屋を配置したファイル
    • 全てのグリッドのマス目に部屋を配置し、部屋の「番号」パラメーターを全て"1"にしたファイル

  • 壁の重複
    正方形に配置した壁4枚を複製して、計32,000枚の壁について以下2つを比較します。
    • 壁が重複しないように間隔をあけて配置したファイル
    • 壁が半分の長さ分重複するように配置したファイル

  • エリア境界の重複
    正方形に配置したエリア境界4本を複製して、計32,000本のエリア境界について以下2つを比較します。
    • エリア境界が重複しないように間隔をあけて配置したファイル
    • エリア境界が半分の長さ分重複するように配置したファイル


以上のモデルを下記の通り計測し、その結果を比較します。
  1. rvtファイルサイズ
  2. rvtファイルを開いて閉じる時間
  3. 平面ビューを1つ開いて閉じる時間
※時間の計測はマクロで測定。各5回測定し、その平均値を評価する値とします。
※rvtファイルの開始ビューは、ビュー範囲に何も要素が無い平面ビューを設定。
※ビューの開閉時間は、rvtファイルを開いて最初にビューを開くときの時間を測定しています。
※テンプレートはデフォルトの建築テンプレートを使用しています。
※環境は、Revit2019.2、Windows10です。


結果

計測値は下図の通りです。



この表より、
  • 部屋が重複していても、ファイルサイズ、ファイルやビューの開閉時間への影響は少ない。
  • 部屋の「番号」パラメーターが重複していても、ファイルサイズ、ファイルやビューの開閉時間への影響は少ない。
  • 同じ壁の数でも、重複しているとファイルサイズが倍になり、ファイルやビューの開閉時間も増加する。
  • エリア境界は重複しても、ファイルサイズやファイルを開閉する時間はそこまで増えませんが、ビューを開く時間が大幅に増える。(重複だけでなく、線分同士の結合も影響しているかもしれません。)
ということが読み取れるかと思います。


以上が今回の検証結果となります。

警告は種類が多く、なかなか確認しづらいインターフェースなので、ついつい見過ごしがちですが、多少なりともモデルのパフォーマンスに影響が出ていることが分かったかと思います。
全ての警告を無くすのは、状況的に難しい場合もありますが、できるだけ最小限にするよう心がけることで、モデルのパフォーマンスを上げられるのではないでしょうか。

今回の検証は、ファイルを開く時間とビューを開く時間の計測だけなのと、簡易的なモデルだったので、実物件のモデルにどこまでこれらの結果が適用できるかは何とも言えないところではあります。

しかしモデルのパフォーマンスは、規模が大きかったりモデルの編集者が多いと、例えばファイルを開く時間が数分違うだけでも、全体の作業時間に大きく影響がでるので、少しでもこれらの結果が、パフォーマンス向上の参考になれば幸いです。


R.O

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