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2017年8月31日木曜日

国土交通白書のヨミカタ⑧

イノベーションに関わる取組みは、まだまだ続きます。

■インフラメンテナンス国民会議
 国土交通省では、2013年を「メンテナンス元年」と位置づけ、翌年には、国土交通省
インフラ長寿命化計画 を策定し、インフラの老朽化対策に取り組んでいます。
この計画を実施するためには、インフラメンテナンスに係るトータルコストの縮減・平準化を
図るなどして戦略的なメンテナンスに取り組むことが必要です。

さらに、この取組みを加速化させるため、産学官民が一体となって技術や知恵を出し合い
メンテナンスに取り組むインフラの維持管理・更新に社会全体で取り組むためのプラット
フォームとして、2016年11月に「インフラメンテナンス国民会議」が設立されました。

国民会議には、建設分野に限らず、情報通信技術、ビッグデータ解析、材料、加工技術など
様々な業種の企業や、地方自治体、NPO 等が参画し、オープンイノベーションの手法を
用いて、会員が具体的な関心事項や課題について情報交換しながら議論を深め、技術開発
や課題の解決策の方向性を見出す公認フォーラムを設置しています。


また「革新的河川管理プロジェクト」ではIT、航空測量技術等の最新技術をオープン・イノ
ベーションの手法によりスピード感をもって河川管理への実装化を図り、河川管理及び
災害対応の高度化を図ることを目的に実施しています。

第一弾として、
①陸上・水中レーザードローン
②クラウド型・メンテナンスフリー水位計
③全天候型ドローンの実用化
に向けたオープン・イノベーション参画に関する公募が行われ、2016年12月、2017年
1月にピッチイベントを開催し、2017年3月には、①:3チーム、②:12チーム、
③:2チームの開発チームが結成され、早いものは2017年4月から現場で試験的に計測を
行うなど、スピーディーな現場実装を目指しています。



このように産学官民のオープンな議論の場を促進する取組みによって、企業連携や官民
マッチングによる現場試行が徐々に進んでいます。

 ■気象ビジネス市場の創出
IoTやAI等の技術の進展により、幅広い産業において気象データを利用した生産性の
飛躍的な向上が見込まれています。
例えば、一般の人から写真を提供してもらうことで予報に活かしたり、気象情報だけでなく、
早さ、燃費の少なさなどを考慮し、運ぶ物の特性や業界の状況を鑑みながら、ルーティング
サービスまで併せたサービスを海運・航空・鉄道事業者へ提供するなど、様々な分野に
おけるサービスの下支えを担っています。

2017年3月には、産業界と気象サービスのマッチングを行う「気象ビジネス推進コンソー
シアム」を立ち上げ、IoTやAI 等の先端技術を活用した新たな気象ビジネスの創出・活性化
を推進しています。


また、気象庁では、同庁の保有する情報やデータについてオープンデータの取組みを
行っています。
2013年5月には天気や気温の変化がもたらす「気候リスク」を定量的に把握し、リスクの
軽減やビジネスチャンスに活かすための専用サイトを開設しました。

サイトでは企業や農家が気候リスクへの対応にデータを活用しやすくなるよう、天候が
商品の売上や農産物の育成とどう関連するかを分析する方法や、実際の対応例などを
紹介しています。

また、全国各地の過去の観測データについて、期間を指定してダウンロードできるほか、
2週間先及び1カ月先の気温予測データも取得できるようにしています。
今後、訪日外国人旅行者等に提供する気象情報の環境整備として、各種情報に用いる
予報区GIS(地理情報システム)データの作成・公開を行い、気象情報や多言語化等を
進める予定です。

これらは、2020年までにGDP 押上効果2000億円を実現することを目標としながら、
気象関連分野におけるオープンイノベーションやオープンデータの取組みを進めています。

 ■交通関連ビッグデータを活用した新たなまちづくり(スマート・プランニングの推進)
 これまで都市計画の分野では、人口分布や施設立地状況等のデータによる静的な
分析に基づいて公共施設等の立地検討が行われてきました。


一方、近年は、スマートフォンを活用したGPS データやWi-Fiデータ等を用いて、個人単位の
移動データを取得するといったビッグデータによる動的な分析」可能となる環境が整いつつ
あります。
このような交通関連ビッグデータを活用し、人の属性ごとの行動データをもとに、利用者の
利便性や事業者の事業活動を同時に最適化する施設立地を可能とする「スマート・プラン
ニング」の開発に取り組んでいます。

 ■高速道路を賢く使う料金
首都圏の高速道路の料金体系については「首都圏料金の賢い3原則」に従って、料金体系の
整理、統一起終点を基本とした継ぎ目のない料金の実現、政策的な料金の導入が必要と
されています。

新たな高速道路料金導入後、都心通過から外側の環状道路へ交通が転換し、都心通過
交通は約1割減少(東名高速、東北道間の都心通過は約5割減少)しました。
この結果、首都高速の交通量は約1%減少し、渋滞損失時間は約1割減少しています。

また、ネットワーク整備進展と料金水準引き下げにより、圏央道利用が促進され、圏央道の
交通量が約3割増加するとともに、圏央道沿線の物流施設の新規立地も約4.6 倍に増加
するなど相乗効果も出ています。


近畿圏の高速道路についても、より効率的に賢く使われるよう、料金水準を現行の高速
自動車国道の大都市近郊区間を基本とする対距離制を導入し、車種区分を5車種区分に
統一、また、今後のネットワーク整備の財源確保などの観点を踏まえた新たな高速道路料金
体系を導入することとしています。

 ★わたしたちの生活にも、大きく関わるテーマが沢山ありますね。
ますます便利になっていく事と日本の経済成長が繋がっていることは、とても興味深いです。

「国土交通白書」(国土交通省)
http://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h28/index.htmlを加工して作成。

2017年8月30日水曜日

国土交通白書のヨミカタ⑦

ここまでは、建設分野のイノベーションについてでしたが、建設以外の分野に
ついても、見ていきましょう。

 ■クルマのICT革命
 現在、交通事故の96%は運転者に起因していると言われており、テレビのCMでも
良く目にする「自動運転」には大きな効果が期待されています。
その効果としては
・交通事故の削減、渋滞の緩和
・少子高齢化による公共交通の衰退等への対応
・国際競争力の強化等の自動車交通を巡る諸課題の解決
などが、挙げられます。

また、自動運転技術の実用化によって、
・安全性の向上
・運送効率の向上、
・新たな交通サービスの創出
などが図られて、大幅な生産性向上に繋がるのでは、と強く期待されています。



現在、自動運転の実用化に向けて、各国がレーダー、カメラ、レーザースキャナーや
車両技術の向上を様々な事業者や政府が一体となって研究開発・実験を行うとともに
ルールの整備やシステムの実証を進めています。

特に、目新しく感じたのが
・2022年度以降における高速道路(東京~大阪間)での「トラック隊列走行技術」
 (後続無人隊列走行)の事業化
・2020年度の無人自動走行による移動サービス等の事業化
を、それぞれ目指し、2018年1月から後続車有人での実証実験や、経済産業省と
連携して、ラストマイル自動走行に取り組む予定です。


こうした取組みによって、自動運転が実用化し、高齢者などの移動弱者の移動手段の
確保や、公共交通の補完、ドライバー不足の解消や技術・ノウハウに基づく国際展開
などが期待されています。

 ■物流生産革命
 近年の日本の物流は、トラックドライバー等の人手不足が深刻化している一方で、
トラックの積載率が4割程度まで低下するなど様々な非効率が発生しています。
将来の労働力不足を克服し、経済成長に貢献するため、物流の大幅なスマート化を図る
物流生産性革命 を推進しています。

具体的な構想としては
・改正物流総合効率化法の枠組みを活用したモーダルシフト
・共同輸配送等の促進
・宅配便の再配達を削減するためオープン型宅配ボックスの導入促進
・小型無人機による荷物配送の実現に向けた物流用ドローンポートシステムの開発支援
特に、付加価値の向上に関しては、現在、物流システムの国際標準化の推進を通じた
日本の物流事業・物流を考慮した建築物の設計・運用についての関係者への周知などに
取り組んでいます。


また、世界に目を向けるとサプライチェーンのグローバル化が進み、物流需要が拡大
する中で日本の物流事業者の海外展開を支援するためには、物流システムを国際標準化
し、市場のスタンダードを早期に獲得していく必要があります。


これらの国際標準化の取組みは、
・世界各国でコールドチェーン物流を安全・安心に利用できる環境を整える。
・人々の生活の利便性向上
・中小企業のビジネス支援
・電子商取引の発展や農水産物、医薬品等の市場拡大
などへの貢献が期待されています。

 ■海事生産性革命
 海事分野においては、「i-Shipping」と「j-Ocean」という2つの大きなテーマがあります。
・i-Shipping・・・造船業の生産性向上と燃料のムダ使い解消・故障ゼロの運航を目指す取組み
・j-Ocean・・・海洋開発市場の成長を我が国海事産業が獲得することを目指す取組み
これら両輪により、強い産業、高い成長、豊かな地方を目指す「海事生産性革命」を
推進しています。


日本の造船業は、1956年以降2001年まで、建造量世界1位、シェア最大50%超を
占めていましたが、中国や韓国の台頭により、現在世界3位、シェアは約20%まで落ち
込んでいます。
こうした現状を受け、i-Shippingでは、情報通信技術等を活用して船舶の開発・設計から
建造・運航に至る全てのフェーズにおいて生産性を向上させ、競争力強化を図るとしています。


また、海底油田・ガス田等の海洋開発分野は、中長期的に拡大する見込みであり、日本の
海事産業(造船業、舶用工業、海運業等)にとって重要な新しい市場であり、j-Oceanでは、
この分野の船舶等の設計、建造から操業に至るまで、幅広く技術力、生産性等の向上を図る
ことにしています。

★これらの取組みを見てみると、成長が見込める分野や産業が更なる発展が出来るよう
国土交通省が後押しをしていることが、良く分かります。

「国土交通白書」(国土交通省)
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2017年8月29日火曜日

国土交通白書のヨミカタ⑥

では 、イノベーションの取組みについて、具体的な内容に迫っていきましょう。

●2.イノベーションに関わる取組み
 ■i-Construction の推進
 現在、建設現場で働いている職人さん約326万人(2016 年時点)のうち
55歳以上が約1/3を占めており、今後10 年間で高齢化等により離職する可能性が
高いことが想定されています。

また、建設業では高齢者の大量離職の見通しとともに、若年技能労働者の離職率の
高さが懸念されています。


企業及び建設業離職者への調査によると、離職の理由のそれぞれ上位8つのうち、
共通する項目として、下記の4つが挙げられています。
・「休みがとりづらい」
・「作業に危険が伴う」
・「労働に対して賃金が低い」
・「ひと月の仕事量によって賃金額が変動する」


これらの実態を踏まえ、国土交通省では、今後到来する労働力人口の減少に向けて、
劇的な進展を遂げるICT などを活用しながら、建設業が生産性を高めながら現場力を
維持できるような取組みを進めています。

 建設業は「社会資本整備の担い手」であると同時に、社会の安全・安心の確保を担う
国土保全上必要不可欠な「地域の守り手」であり、人口減少や高齢化が進む中にあっても
建設業の賃金水準の向上や休日の拡大等による働き方改革とともに、生産性向上が必要
不可欠です。

そこで、国土交通省では、調査・測量から設計、施工、検査、維持管理・更新までの
建設生産プロセス全てを対象としてICT 等の新技術を活用する「i-Construction」を
推進し、建設現場の生産性を2025年度までに2割向上させることを目指しています。

2016年度はトップランナー施策として3つを挙げ、推進しました。
①切土や盛土といった工事へICT を活用する「ICT の全面的な活用(ICT 土工)」
②コンクリート工の規格の標準化等の「全体最適の導入」
③2カ年国債の活用やゼロ国債の設定などによる「施工時期等の平準化」


2017年3月までには584の工事でICT 土工が実施されました。
岐阜県のある道路建設工事では、施工者がICT土工に積極的な取組みを行っており、
ドローン測量の検証や、マシンコントロールバックホーによる切土法面成型などを実施
しました。


本工事では、UAVやICT建機の活用による成果を挙げています。
・測量日数の短縮を初めとして工期が大幅に(36日から7日へと約30日)短縮した。
・経験の浅いオペレーターでも高精度に仕上げることが可能になった。
・測量及び法面整形時の機械化で作業員が法面から滑落事故などの危険性が無くなった。
このQCDSの成果をみると、まさに良いこと尽くめのようです。

さらに、様々な分野の産学官が連携して、IoT・AI などの革新的な技術の現場導入や
3次元データの活用などを進めることで、生産性が高く魅力的な新しい建設現場を
創出するため「i-Construction 推進コンソーシアム」を2017年1月に設置しました。



そして、今後もICT の活用工種の拡大やCIMの導入、i-Constructionコンソーシアムの
WG活動等を通じた建設現場への新技術の実装や更なる普及・促進施策の充実等により、
・「給与が良く」
・「十分な休暇が取得でき」
・「将来に希望が持てる」
魅力ある新たな建設現場の実現を目指す、としています。

ここまでを見ると土木分野が主体になっていますが建築分野においても官庁営繕事業での
BIMの導入の効果や課題を効果の検証するため、22年度から導入の施行をしています。

そして、これらの結果も踏まえ、官庁営繕事業におけるBIM を利用する場合の基本的な
考え方と留意事項を
「官庁営繕事業におけるBIM モデルの作成及び利用に関するガイドライン」として
取りまとめ26年度からは、ガイドラインを適用したBIM 導入事例の蓄積を図っています。

★わたし自身も建築分野に身を置いていますが、ここ近年、BIM がとても身近になってきた
ことを強く感じています。

「国土交通白書」(国土交通省)
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2017年8月28日月曜日

国土交通白書のヨミカタ⑤

第Ⅰ部、第2章です。

第1章では、イノベーションの現状と歴史を中心に見てきましたが、第2章では、
イノベーションの取組みと課題について書いています。
イノベーションについては3つの章立てになっていますが、第2章はわたしたちにとって
最も身近な話題も盛り沢山となっています。
その中でも特に興味深いものをピックアップして取り上げていきたいと思います。

第2節
●1.国土交通省の政策
 昨年2016年は、生産性革命元年と言われています。
人口減少に伴う供給の制約や人手不足を克服する「生産性革命」を強力に推進して
いく必要があります。
そこで国は、日本再興戦略2016(閣議決定)で示しているように、Iot、AI、
ビッグデータ、ロボット、センサーの技術的ブレークスルーを活用していく事が最大の
カギです。

国土交通省においては、技術研究開発の推進、技術の効果的な活用、技術政策を
支える人材の育成などの重要な取組み、新たな国土交通省技術基本計画を今年、
3月に策定しました。

 ■生産性革命プロジェクト
 国土交通省では、2016年3月に設置した「国土交通省生産性革命本部」のもと
省を挙げて生産性向上などに向けた取組みを進めることとし、これまでに20の
先進的な「生産性革命プロジェクト」を選定、推進しています。


ここでのポイントです。
「小さなインプットでできるだけ大きなアウトプットを生み出す」

そして、こうした観点から
①新技術の開発や社会実装の推進
②既存ストックの徹底的な活用
③制度やその運用の見直し
といった工夫が講じられているものを選定しています。

 ■ 国土交通省技術津基本政策
 国土交通省は、国土交通行政における技術開発等を含む技術政策の基本的な
指針として、2021年度までを計画期間とする新たな、「国土交通省技術基本計画」を
策定しました。


この新たな計画は3つの柱があります。
①「人を主役としたIoT、AI、ビッグデータの活用」
②「社会経済的課題への対応」
③「好循環を実現する技術政策の推進」

これらを掲げ、新たな価値の創出により生産性革命、働き方改革を実現し、持続
可能な社会を目指そうとしています。

次回は、具体的な取組みについて考えていきたいと思います。

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2017年8月25日金曜日

国土交通白書のヨミカタ④


第Ⅰ部、第1章の最終の第3節、イノベーションの歴史です。

まず、交通や輸送、通信などの進化についてです。

◆陸上交通日本では、1964年に東京・大阪間の輸送力向上に向けて、新幹線が
登場し、日帰り出張が可能になりました。


日本の新幹線の成功は、その後の世界各国での高速鉄道のきっかけにもなりました。

道路についても、高速道路網が整備され、2001年にはETCが導入されました。
2015年には、ETC2.0が導入され、運転支援と言う新しいサービスの提供が開始
されました。
現在、ETC2.0はビッグデータを活用して渋滞と事故を減らすなど、道路を賢く使う
取組みを推進しています。

◆海上交通
1967年に日本に初めてコンテナ船が就航しました。
そして現在、船舶外易定期輸送の9割がコンテナ化したと言われています。


 ◆航空交通
1970年にジャンボジェット機が登場して以降、旅客としての飛行機が身近なものと
なり、2012年にはLCCの登場により、賢く使うための利用環境が進化を遂げており、
出張や旅行をはじめとする海外との交流が増加しています。

◆スマートフォン
スマートフォンにより従来の携帯電話機能に加え、PC用のウェブサイト閲覧による
情報収集が可能になりました。

そして、2008年、iphoneの登場によりスマートフォンの普及が大きく進みました。
2015年末の普及率は72%までになっており、年々普及率は高まっています。


ある民間調査によると、大学生のほとんどがPCスキルは必要だと思っているけど
7割の学生は自分のPCスキルに自信が無い、と回答しているそうです。
そういった学生でも、スマートフォンは自分の思うまま使いこなしているという現実
があります。
また、アプリの開発、導入によってスマートフォンの普及は、関連する産業の創出や
成長にも大きく繋がっています。

◆電子商取引
インターネットによる利用拡大で電子商取引市場は右肩上がりで成長を続けています。
おなじみのアマゾンでは、商品に関する意見や感想をサイト上に自由に投稿、閲覧が
出来るレビューやおすすめ商品が表示されるサービスを提供していますが、独自の
アルゴリズム技術による効果は、アマゾンの売上高の35%を占めるそうです。

また、最近ではロボット在庫管理システムによって、倉庫や物流センターにおける
作業員不足を補完できるなど、物流システムの進化を続けています。


◆コンビニエンスストア
今でこそ当たり前にお世話になっているコンビニにも、歴史があります。
1970年代、スーパーマーケットの売上高は百貨店を抜き、小売業界の最大のシェアを
占めるようになりました。

その後、中小小売店舗法が制定され、さらに大型チェーンストアの出店規制や
営業時間規制がなされた大規模店舗小売法が制定されました。
これらを受けてコンビニはフランチャイズ方式を導入し、長時間営業、年中無休と
いう独自の経営を行い、現在まで店舗数を増やし続けてきました。


◆自動改札機
日本で始めて自動改札機を導入したのは、1927年に開業した東京地下鉄道
(現在の東京メトロ銀座線)です。
当時は10銭硬貨を入れるとロックが外れ、腕木を押すと1人だけが通れるといった
仕組みでした。
それから進化を続け、現在ではICカードによる自動改札機が導入され、利用者は
より迅速、快適に異動することが可能になっています。


★こうして、日本のイノベーションの歴史を振り返ってみると、今では自分の回りで
当たり前になっていることも、長い年月を経て進化して来たことが分かります。
その中でも、スマホ、インターネット、通販などは急激な進化を遂げた分野は、
産業の革命、まさにイノベーションであると感じます。

「国土交通白書」(国土交通省)
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2017年8月24日木曜日

国土交通白書のヨミカタ③

第Ⅰ部の続きです。

イノベーション政策において日本は、世界の中でどんな位置付けにいるかというと、
常に上位の立場を維持してきました。


 イノベーションのランキングが高いと言うことは、ものづくり分野での国際競争力が
強いということでもなります。

また、Iot、ビッグデータ、AI、ロボット、センサーなど第4次産業革命のキーとなる
個々の分野で、日本は最高レベルの技術力を有していることは大きな強みです。

特に産業用ロボットでは世界のシェアの約20%を占めており、第1位です。


こうした日本の強みがある反面、弱みもあります。
人材の不足が課題です。
ICTの進展の中、データ処理、データ可視化、データ解析に習熟する人材のニーズが
世界的にも高まる中、日本では減少傾向にあるようです。


次に企業側の課題です。
企業の研究開発は盛んに行われていますが、自前(自社)主義からの脱却が遅れている
ため、研究開発投資が企業収益に繋がっていません。


特に、建設業においては他の産業と比べて、売上高に対する研究開発投資の割合が低い
と言われています。

そして、企業側の意識を見てみると、Iot、ビッグデータ、AIの活用状況はどの産業を
見ても活用に向けて前向きなのは、全体の20~30%と低調です。


★日本のイノベーションの現状を振り返ってみると、ものづくりにおける技術力は最高
レベルを持っており、更に生かしていくことが必要です。
 また、今後に向けては、必要な人材の育成やIot、ビッグデータ、AIの活用の推進が
強く求められるようです。

「国土交通白書」(国土交通省)
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2017年8月23日水曜日

国土交通白書のヨミカタ②

では、国土交通白書の具体的な内容に入っていきたいと思います。

第Ⅰ部は、イノベーションが切り拓く新時代と国土交通行政 について書かれています。

大まかな内容として、下記のようになっています。
第1章は社会的状況とイノベーション
第2章はイノベーションに向けての取組みと課題
第3章はイノベーションから産まれる今後の展望 

日本の現状は、人口減少や高齢化といった社会背景の中で、建設業においては他の産業と
比べてもその影響が特に大きいと言われています。


建設現場で働いている技能労働者、いわゆる職人さんの高齢化や大量離職が起きて、
中長期的に担い手不足が生じることが懸念されます。
これは、白書の中でもここ数年は毎年、書かれていることであり、とても深刻な問題と
されています。

こうした問題を解決するには、イノベーションによる生産性の向上が必須です。

そうした背景の中でICTの進展に伴う、ロボットや人工知能、またIotといったものが
生産性の向上や人手不足の解消につながると期待されています。


次に、日本が直面する課題として 巨大地震、気象災害 を挙げています。
これらの災害は、生命に関わるテーマですから特に重要な課題です。


また、加速するインフラの老朽化の問題があります。
高度成長期に整備された建築物や、道路やトンネル、橋といった構築物が今後一斉に更新の
時期を迎えることで、維持管理や更新に掛かるコストが跳ね上がっていく見込みです。
これらについては、安全確保とトータルコストの縮減、平準化が必要となってきます。


こうした背景を踏まえて、現在、イノベーションの必要性が求められています。
イノベーションの経済効果の推計がされていますが、1000億円単位の効果が想定される
ものもあって、大きな期待がされています。


★わたしの周りでも、AI、Iotといったキーワードを良く耳にするようになって来ました。
これらが建築とどう繋がったら、イノベーションを起こして生産性向上に繋がるのか、まだ
良く分かりませんが、大きな可能性があるのは間違い無いのですから積極的に関わって
いきたいと思います。

「国土交通白書」(国土交通省)
http://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h28/index.htmlを加工して作成。

2017年8月22日火曜日

【お知らせ】OPEN BIM CAFEの参加者募集

只今、9月15日(金)に開催する
第59回OPEN BIM cafe参加者を募集しています!



OPEN BIM cafe は、くつろいだ雰囲気でBIMをオープンに語り合える場です。 

ご参加に制限はなく、どなたでもご参加頂けますので、
興味のある方は是非ご参加下さい!

今回の気になる内容はこちらです!!!
↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓
--------------------------------------------------------------------
【9/15(金)OPEN BIM cafeのご案内(セミナースケジュール)】 

・18:30~19:10(40分)
  シンテグレート 渡辺 健児
 「複雑な形状のデザインから生産・施工までのBIM活用
 
・19:10~19:20(10分) 
 ブレイクタイム 
 ※お好きなドリンクをお選び下さい 

・19:20~20:00(40分) 
 オプテックス 中村 明彦 様
 「センシング事業から見た、IoTの現状

・20:00~21:30(90分) 
 パワーディスカッション 
 ※ビジネス力アップのためのパワーディスカッション 

--------------------------------------------------------------------

先着20名ですので、お申し込みはお早めに!!

お申し込みはこちらから
http://kokucheese.com/event/index/479982/


皆様のご参加をお待ちしております!

シェルパ社員一同

2017年8月21日月曜日

国土交通白書のヨミカタ①



 
6月末に平成28年度国土交通白書が公表されました。
と、いきなり言われても土木分野に比べて建築分野の方には少し馴染みが薄いかも
知れません。
国土交通白書は、国土交通行政をテーマに、国交省が取り組んでいる事業の紹介や
今後の課題、未来に向けての国土交通行政の役割について記述されています。
http://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h28/index.html

国土交通白書は、時代の移り変わりを表す指標であり、建築分野に携わる私たちに
とって身近に感じる話題も多くあって結構興味深いです。

その中でも、特に気になったものを取り上げていきます。

まず、目次から見てみると、
今年度のキーワードは、イノベーション です。
http://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h28/hakusho/h29/pdf/npmokuji.pdf

イノベーションの説明です。
イノベーションとは、単なる技術革新や新技術の開発ではなく、社会システムや
制度全体を含めて、革新・刷新することにより、新しい価値を次々と生み出して
いくことである。
続いて、本編では「イノベーションが切り拓く新時代と国土交通行政」をテーマに
海外・日本で起きたイノベーションによりライフスタイルがどのように変化したか
をまとめています。

この中では、わたしたちにとっても身近なキーワードや課題が多数出てきます。
・人口減少・少子高齢化の進展
・巨大地震や激甚化する気象災害
・加速するインフラ老朽化
これらの課題に直面する日本では、イノベーションを創出し社会実装することで、
世界に先駆けてさまざまな課題を克服すると共に、持続的な経済成長を実現する
必要があると指摘しています。
さらに、イノベーションに関わる取り組みとして、民泊をはじめとするシェアリング
エコノミーへの対応、建設分野でのICT活用などについて紹介しています。

★細かな内容を挙げればきりがありませんが、わたしが国土交通白書に興味を持った
のには大きなポイントがあります。
・建設業だけでなく、それらを取り巻く社会の動向と未来の展望が見える。
・国土交通行政における施策の元となる法律や考え方とのつながりが見える。 
こうした情報を得ることで、建設業に置かれているわたしたちの目の前にある 
課題や展望についての視野が広がるのではないかと思います。

次回は興味深いテーマを具体的に紹介していきます。
 
「国土交通白書」(国土交通省)
http://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h28/index.htmlを加工して作成。
 

2017年8月18日金曜日

Excelで作業時間の歩掛を管理

今回は、Excel作業時間の歩掛簡単に管理する方法をご紹介します!

作業時間の歩掛を蓄積することで、次回同じような作業をするときの
歩掛の目安になったり、自分がどんな作業が苦手なのかが見えてきます!

しかし、一つ一つの作業時間を時計を見ながらメモしたりするのは、
時間を計算したりと手間が掛ってしまいます

そこで、Excelでこんな表を作成してみました!



使い方はとても簡単です!
作業項目」には、あらかじめ想定している作業内容を手順通りに入力しておき、
開始時間」と「終了時間」にそれぞれのタイミングの時間を入力するだけです!
(時間は手入力ではなく、「Ctrl+:(コロン)」をセル上で押すだけで
 現在の時間が入力されます。)



ポイントとしては、「開始時間」と「終了時間」に時間を入力するだけで
作業時間」に歩掛が計算される関数を入力しています!



全ての作業が終わった時に、こんな感じで表にまとめると見やすくなります!
(想定時間は、作業前に想定した作業時間です)



ひとつテンプレートとなるExcelデータを作成しておくことで
どんな作業にも活用できるのでとても便利ですよ!


NF

2017年8月17日木曜日

ArchiCAD マークアップとリノベーションの注意点(一覧表)

ArchiCADマークアップ(補正)リノベーションを使用している場合、
一覧表作成には注意が必要です。

実際、マークアップ(補正)非表示にしているのに気が付かずに
要素を集計しそうになりました。

何の設定をしていない時は、全ての要素が集計されます




マークアップの補正で非表示にしている要素は、
平面図や3Dビューで非表示になっていても集計されます
(一覧表の設定では、マークアップごとの設定はできません)



リノベーションステータスを「新規」に設定して、
リノベーションフィルタを「既存プラン」で非表示にしている要素は、
一覧表でも集計されません



リノベーションステータスが一覧表の集計に影響するのは、
一覧表作成時のリノベーションフィルタに依存します。

リノベーションステータスが「新規」の要素も集計したい場合は、
3つの方法があります。

A.一覧表作成時にリノベーションフィルタを「新設」で作成。

B.平面図または3Dビューでリノベーションフィルタを「新設」にし、
 ビュー設定を取得してから一覧表ビューに置換する。

C.リノベーションフィルタオプションでリノベーションフィルタ「既存プラン」の
 「新設要素」を「表示」にする。



受け取ったデータなど、他者が作成したモデルで一覧表集計する時は、
マークアップリノベーションを一度確認して集計しましょう。


FH

2017年8月16日水曜日

BIMx ウォークスルー時の注意点

ArchiCADで作成したモデルをBIMxに出力し、ウォークスルー
モデルを自己チェックしたり、他者に確認してもらうことは良くありますよね!

今回は、ウォークスルー時のちょっとした注意点をご紹介します!

ArchiCADで建物モデルのみを作成し、BIMxウォークスルー外部から
建物内部に入ろうとすると入れない場合があります。



その原因は、BIMxの設定の中の「障害物許容値」にあります!
これは、階段や段差など「乗り越えれる高さ」の設定です。
上限値は、400mmです)



BIMx上で建物(モデル)が無い場所は、モデルの最低面を基準
ウォークスルーで歩いています。
建物の立ち上がりなどが400mm以上ある場合は、ウォークスルーで
外部から入れません。



ですので、メッシュで大きめの敷地を入力しておきましょう!



BIMxに慣れていない方など「なんで入れないの?」と困ってしまうことも
ありますので、ちょっとした手間で困りごとを少なくしましょう!


NF

2017年8月10日木曜日

Revit 参照図面をRevitリンクで管理する

今回は、RevitでCADデータなどの参照図面Revitリンク
管理する方法をご紹介します!

CADデータをモデル作成用のファイルで直接「CADをリンク」
「CADを読み込む」から配置すると「マテリアル」「線種パターン」
とても多く増えてしまい管理が大変になってしまいます。




そこで、CADデータなどの参照図面を読み込む専用のファイルを作成し、
そのファイルを「Revitリンク」で参照して解決しましょう!

まず初めに、参照図面を配置する専用のビューを作成しましょう。
(一つのビューに1つの参照図面を配置します)



次に各ビューに「CADをリンク」または「CADを読み込む」参照図面を配置します。



各ビューに配置ができたらこのファイルを保存しましょう。
ファイル名を"プロジェクト名+LINK"などリンク用のファイルだと
分かるようにします。


次に参照図面用のファイルをモデル作成用のファイルリンクさせます。
「Revitをリンク」参照図面用のファイルを選択します。



このままでは、参照図面は見えないので見えるように設定します。
参照図面を表示させたいビューを開いて、「表示グラフィックスの上書き」
設定画面を開き、「Revitリンク」「ホストビュー別」を選択します。



「RVTリンク表示設定」「基本機能」から「リンクビュー別」
チェックを入れ、「リンクビュー」参照図面用ファイルで配置した
ビューを選択して完了です!



この方法であれば、「マテリアル」「線種パターン」など増えることもなく
ビューごとに表示させたい参照図面も切り替えることができるので便利です!

参照図面を増やしたい場合は、参照図面用のファイルにビューを追加して
CAD読み込むだけで、モデル作成用のファイルにも反映されます。

是非、ご活用ください!


NF