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2017年8月31日木曜日

国土交通白書のヨミカタ⑧

イノベーションに関わる取組みは、まだまだ続きます。

■インフラメンテナンス国民会議
 国土交通省では、2013年を「メンテナンス元年」と位置づけ、翌年には、国土交通省
インフラ長寿命化計画 を策定し、インフラの老朽化対策に取り組んでいます。
この計画を実施するためには、インフラメンテナンスに係るトータルコストの縮減・平準化を
図るなどして戦略的なメンテナンスに取り組むことが必要です。

さらに、この取組みを加速化させるため、産学官民が一体となって技術や知恵を出し合い
メンテナンスに取り組むインフラの維持管理・更新に社会全体で取り組むためのプラット
フォームとして、2016年11月に「インフラメンテナンス国民会議」が設立されました。

国民会議には、建設分野に限らず、情報通信技術、ビッグデータ解析、材料、加工技術など
様々な業種の企業や、地方自治体、NPO 等が参画し、オープンイノベーションの手法を
用いて、会員が具体的な関心事項や課題について情報交換しながら議論を深め、技術開発
や課題の解決策の方向性を見出す公認フォーラムを設置しています。


また「革新的河川管理プロジェクト」ではIT、航空測量技術等の最新技術をオープン・イノ
ベーションの手法によりスピード感をもって河川管理への実装化を図り、河川管理及び
災害対応の高度化を図ることを目的に実施しています。

第一弾として、
①陸上・水中レーザードローン
②クラウド型・メンテナンスフリー水位計
③全天候型ドローンの実用化
に向けたオープン・イノベーション参画に関する公募が行われ、2016年12月、2017年
1月にピッチイベントを開催し、2017年3月には、①:3チーム、②:12チーム、
③:2チームの開発チームが結成され、早いものは2017年4月から現場で試験的に計測を
行うなど、スピーディーな現場実装を目指しています。



このように産学官民のオープンな議論の場を促進する取組みによって、企業連携や官民
マッチングによる現場試行が徐々に進んでいます。

 ■気象ビジネス市場の創出
IoTやAI等の技術の進展により、幅広い産業において気象データを利用した生産性の
飛躍的な向上が見込まれています。
例えば、一般の人から写真を提供してもらうことで予報に活かしたり、気象情報だけでなく、
早さ、燃費の少なさなどを考慮し、運ぶ物の特性や業界の状況を鑑みながら、ルーティング
サービスまで併せたサービスを海運・航空・鉄道事業者へ提供するなど、様々な分野に
おけるサービスの下支えを担っています。

2017年3月には、産業界と気象サービスのマッチングを行う「気象ビジネス推進コンソー
シアム」を立ち上げ、IoTやAI 等の先端技術を活用した新たな気象ビジネスの創出・活性化
を推進しています。


また、気象庁では、同庁の保有する情報やデータについてオープンデータの取組みを
行っています。
2013年5月には天気や気温の変化がもたらす「気候リスク」を定量的に把握し、リスクの
軽減やビジネスチャンスに活かすための専用サイトを開設しました。

サイトでは企業や農家が気候リスクへの対応にデータを活用しやすくなるよう、天候が
商品の売上や農産物の育成とどう関連するかを分析する方法や、実際の対応例などを
紹介しています。

また、全国各地の過去の観測データについて、期間を指定してダウンロードできるほか、
2週間先及び1カ月先の気温予測データも取得できるようにしています。
今後、訪日外国人旅行者等に提供する気象情報の環境整備として、各種情報に用いる
予報区GIS(地理情報システム)データの作成・公開を行い、気象情報や多言語化等を
進める予定です。

これらは、2020年までにGDP 押上効果2000億円を実現することを目標としながら、
気象関連分野におけるオープンイノベーションやオープンデータの取組みを進めています。

 ■交通関連ビッグデータを活用した新たなまちづくり(スマート・プランニングの推進)
 これまで都市計画の分野では、人口分布や施設立地状況等のデータによる静的な
分析に基づいて公共施設等の立地検討が行われてきました。


一方、近年は、スマートフォンを活用したGPS データやWi-Fiデータ等を用いて、個人単位の
移動データを取得するといったビッグデータによる動的な分析」可能となる環境が整いつつ
あります。
このような交通関連ビッグデータを活用し、人の属性ごとの行動データをもとに、利用者の
利便性や事業者の事業活動を同時に最適化する施設立地を可能とする「スマート・プラン
ニング」の開発に取り組んでいます。

 ■高速道路を賢く使う料金
首都圏の高速道路の料金体系については「首都圏料金の賢い3原則」に従って、料金体系の
整理、統一起終点を基本とした継ぎ目のない料金の実現、政策的な料金の導入が必要と
されています。

新たな高速道路料金導入後、都心通過から外側の環状道路へ交通が転換し、都心通過
交通は約1割減少(東名高速、東北道間の都心通過は約5割減少)しました。
この結果、首都高速の交通量は約1%減少し、渋滞損失時間は約1割減少しています。

また、ネットワーク整備進展と料金水準引き下げにより、圏央道利用が促進され、圏央道の
交通量が約3割増加するとともに、圏央道沿線の物流施設の新規立地も約4.6 倍に増加
するなど相乗効果も出ています。


近畿圏の高速道路についても、より効率的に賢く使われるよう、料金水準を現行の高速
自動車国道の大都市近郊区間を基本とする対距離制を導入し、車種区分を5車種区分に
統一、また、今後のネットワーク整備の財源確保などの観点を踏まえた新たな高速道路料金
体系を導入することとしています。

 ★わたしたちの生活にも、大きく関わるテーマが沢山ありますね。
ますます便利になっていく事と日本の経済成長が繋がっていることは、とても興味深いです。

「国土交通白書」(国土交通省)
http://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h28/index.htmlを加工して作成。

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