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2017年8月30日水曜日

国土交通白書のヨミカタ⑦

ここまでは、建設分野のイノベーションについてでしたが、建設以外の分野に
ついても、見ていきましょう。

 ■クルマのICT革命
 現在、交通事故の96%は運転者に起因していると言われており、テレビのCMでも
良く目にする「自動運転」には大きな効果が期待されています。
その効果としては
・交通事故の削減、渋滞の緩和
・少子高齢化による公共交通の衰退等への対応
・国際競争力の強化等の自動車交通を巡る諸課題の解決
などが、挙げられます。

また、自動運転技術の実用化によって、
・安全性の向上
・運送効率の向上、
・新たな交通サービスの創出
などが図られて、大幅な生産性向上に繋がるのでは、と強く期待されています。



現在、自動運転の実用化に向けて、各国がレーダー、カメラ、レーザースキャナーや
車両技術の向上を様々な事業者や政府が一体となって研究開発・実験を行うとともに
ルールの整備やシステムの実証を進めています。

特に、目新しく感じたのが
・2022年度以降における高速道路(東京~大阪間)での「トラック隊列走行技術」
 (後続無人隊列走行)の事業化
・2020年度の無人自動走行による移動サービス等の事業化
を、それぞれ目指し、2018年1月から後続車有人での実証実験や、経済産業省と
連携して、ラストマイル自動走行に取り組む予定です。


こうした取組みによって、自動運転が実用化し、高齢者などの移動弱者の移動手段の
確保や、公共交通の補完、ドライバー不足の解消や技術・ノウハウに基づく国際展開
などが期待されています。

 ■物流生産革命
 近年の日本の物流は、トラックドライバー等の人手不足が深刻化している一方で、
トラックの積載率が4割程度まで低下するなど様々な非効率が発生しています。
将来の労働力不足を克服し、経済成長に貢献するため、物流の大幅なスマート化を図る
物流生産性革命 を推進しています。

具体的な構想としては
・改正物流総合効率化法の枠組みを活用したモーダルシフト
・共同輸配送等の促進
・宅配便の再配達を削減するためオープン型宅配ボックスの導入促進
・小型無人機による荷物配送の実現に向けた物流用ドローンポートシステムの開発支援
特に、付加価値の向上に関しては、現在、物流システムの国際標準化の推進を通じた
日本の物流事業・物流を考慮した建築物の設計・運用についての関係者への周知などに
取り組んでいます。


また、世界に目を向けるとサプライチェーンのグローバル化が進み、物流需要が拡大
する中で日本の物流事業者の海外展開を支援するためには、物流システムを国際標準化
し、市場のスタンダードを早期に獲得していく必要があります。


これらの国際標準化の取組みは、
・世界各国でコールドチェーン物流を安全・安心に利用できる環境を整える。
・人々の生活の利便性向上
・中小企業のビジネス支援
・電子商取引の発展や農水産物、医薬品等の市場拡大
などへの貢献が期待されています。

 ■海事生産性革命
 海事分野においては、「i-Shipping」と「j-Ocean」という2つの大きなテーマがあります。
・i-Shipping・・・造船業の生産性向上と燃料のムダ使い解消・故障ゼロの運航を目指す取組み
・j-Ocean・・・海洋開発市場の成長を我が国海事産業が獲得することを目指す取組み
これら両輪により、強い産業、高い成長、豊かな地方を目指す「海事生産性革命」を
推進しています。


日本の造船業は、1956年以降2001年まで、建造量世界1位、シェア最大50%超を
占めていましたが、中国や韓国の台頭により、現在世界3位、シェアは約20%まで落ち
込んでいます。
こうした現状を受け、i-Shippingでは、情報通信技術等を活用して船舶の開発・設計から
建造・運航に至る全てのフェーズにおいて生産性を向上させ、競争力強化を図るとしています。


また、海底油田・ガス田等の海洋開発分野は、中長期的に拡大する見込みであり、日本の
海事産業(造船業、舶用工業、海運業等)にとって重要な新しい市場であり、j-Oceanでは、
この分野の船舶等の設計、建造から操業に至るまで、幅広く技術力、生産性等の向上を図る
ことにしています。

★これらの取組みを見てみると、成長が見込める分野や産業が更なる発展が出来るよう
国土交通省が後押しをしていることが、良く分かります。

「国土交通白書」(国土交通省)
http://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h28/index.htmlを加工して作成。

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