元々は、樋が無かった昔、雨の跳ね返りによる外壁の汚れ防止のため、
砂利などを建物周囲に敷くようになり、その部分が犬が通る巾程度なので、
犬走りと呼んだそうです。
現在は、樋が普通に設けられていますので、その意味は、無くなってきましたが、
建物廻りに、犬走りを設けることは多いです。
今回は、言葉の意味の事ではなく、その勾配についてです。
犬走り部分を利用して、通路として使うことも良くあります。
仕上は、コンクリート刷毛引きや、タイル、石、インターロッキングなどが
ほとんどだと思います。
そのため、水勾配が必要になります。
下図は、出入り口部断面ですが、この断面で通路(犬走り)にもなっています。
丁度、入り口部分の断面で、入口へ向かう方向の勾配は、約1/50です。
水も溜まらないし、車椅子が通行するのにも問題なさそうと思う所です。
しかし、この建物は、犬走りを外部通路としているため、
この断面の直交方向の人の通行が頻繁にあります。
なので、この場合は、横断勾配についても、考慮しないといけなくなるわけです。
建築としての基準はあまり聞きませんが、歩道で基準がありました。
『歩道における段差及び勾配等に関する基準』
この中に、横断勾配に関する記述があり、
「道路構造令第24条第2項により、従来どおり2%を標準としますが、
透水性舗装の採用などにより排水が図れる場合には、車いすなどの
通行を考慮して、横断勾配を1%以下とすることとします。」
という事から、犬走りを通路として利用する場合、1%勾配を基準として、
設定するのが良さそうです。
(自治体によっては建築物移動円滑化基準に横断勾配の事を謳っているところもある)
実際、1/50を横断して歩くと、歩き難いです。
という事で、実際の町の歩道を歩いてみました。
これで、約1/40。従来通りの2%基準か? 少し、歩行感悪い。
ここは、約1/15。かなり歩き難い。一定勾配では無いので、部分的には、1/10ぐらい?
ここも、約1/15。
こうして見ると、車椅子に考慮なしですね。
実際、危ないですよ、車道に持っていかれて。
これを機会に、こういうことを考えて貰えばと思います。
by Y爺
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